更新日:2023/5/26

車が故障したかな?と感じたときの症状と主な原因と対処法

「なんだかクルマの調子がいつもと違う。故障かな?」と感じたら、

こんなところに原因があるかもしれません。

運転中の違和感、異音、異臭、振動などトラブルにつながるサインをお見逃しなく。



愛車のステアリングを握っていているときに、「あれっ? いつもと違う。何かおかしい」と感じたことはありませんか。どこに異常があるのか具体的にわからなくても、なんとなく違和感があるといった、トラブルにつながるサインに気づくことはとても大切です。


クルマの異変を感じ取ることができる主な症状については、「異音」、「異臭」、「振動」が挙げられます。この3つの大きなポイントにわけて、その原因や対処法などをご説明します。


もちろん、明らかにクルマの走行を妨げるような症状があればすぐにクルマを安全な場所に止め、救援を求める必要があります。重大な支障がなければ、速やかに整備工場やカー用品店などで点検しましょう。




トラブルのサイン その1「異音」


エンジン音や走行音に加えて聞き慣れない音が耳に届く。これがクルマの「異音」ですが、その多くは回転運動や往復運動などを行う各機関が問題を抱えていてスムーズに動かないことから音が発生します。それゆえ「異音」にいち早く気づくことは、トラブルの芽を摘むことになるわけですね。


「異音」の代表的なもののひとつは、エンジンルームから聞こえる「キュルキュル」音。この音を耳にしたら、エンジンの回転を利用してオルタネーター(電気を生み出すための部品)やエアコンコンプレッサー(エアコンガスの圧縮機)、ウォーターポンプ(冷却水循環機)などを動かすための「補機ベルト」、さらにはベルトがかかっている「プーリー」に不具合が出ている可能性が疑われます。そのままにしておくとベルトが切れてしまい、発電できなくなったりエアコンが利かなくなるなど大きなトラブルにつながりますのでベルトやプーリーの交換となります。


排気音が通常より大きくなるという「異音」もよくある症状です。排気音を抑えるマフラーの消音器の内部が損傷したり、腐食等によりパイプに穴が開くと、かなり大きな音がします。そのままにしておくと車検に通りませんので、補修やマフラーを交換する必要があります。


あまり大きな音ではなくても、走行に合わせて「コツコツ」音が聞こえることがあります。この場合は足回り関連のパーツに不具合があることが多く、サスペンション部品の取り付け部や可動部分のブッシュ類、ショックアブソーバー、スプリングの劣化などの可能性があります。足回り部品はいわゆる消耗品ですので、新品に交換して対処します。


このほかにもトランスミッションやプロペラシャフト、デファレンシャル、ハブベアリングといった駆動系と呼ばれる部分に不調があるときにも「異音」が発生します。「ゴーゴー」といった音が聞こえることが多いようで、駆動系のトラブルの場合は当該部品の交換のほか、内部のギアの交換やオーバーホールを行うことで不具合を解消します。


また、ブレーキシステムについても「キーキー」とこすれる音が大きくなる場合があります。モータースポーツでの使用を前提としたブレーキパーツを使用している場合は致し方ない場合もありますが、一般的にはブレーキパッドの残量がないことを警告する「パッドウェアインジケーター」にローターが接触していることが考えられますので、すぐ点検してください。


加えてブレーキパッドが減っている場合は、利きの低下も伴います。ブレーキパッド、ブレーキディスクローター、ブレーキフルードはすべて消耗品ですので、定期的な交換が必要です。


このほか、雨の日に要チェックな「異音」もあります。ワイパーの鳴きですね。ワイパーをウインドーガラスに押しつける骨組みをワイパーブレード、水を拭き取る部分をワイパーゴムと言いますが、ワイパーゴムがすり減ったり硬化することで動きのスムーズさが失われ「ズズズッ」「ガガガッ」といった「ビビリ音」が発生します。きれいに拭き取れなくなりますので早めの交換がおすすめです。




トラブルのサイン その2「異臭」


エアコンの性能が向上した昨今はウインドーを大きく開けて走る機会が減り、大事なクルマのトラブルのサインである「異臭」にずいぶんと気づきにくくなりました。それでも、帰宅してクルマを止めた際や、ロングドライブの途中でサービスエリアに寄ったり目的地に着いたときには、クルマをひと回りして気になるような臭いを感じないか確認するといいですね。


最近は少なくなりましたが、冷却水の量が減りエンジンのクーリング性能が低下している場合にはエンジンが異常過熱「オーバーヒート」を起こすことがあり、ボンネットのあたりから「異臭」がすることがあります。


このように「異臭」は「発熱」に関係する場合が少なくありません。クルマそのものには異常がなくても、走行中ににビニール袋などを下回りに巻き込み、これが高温になったマフラーに付着すると焦げたような臭いが漂うことがあります。そのままにしておくとなかなか臭いがとれない上に、車両火災につながる危険性がありますので、マフラーが冷えてからきれいに取り除きましょう。


もうひとつよくあるのは「ブレーキ」からの「異臭」です。ブレーキというよりはタイヤ・ホイールの奥から臭いがすると感じるかもしれませんね。長く続く下り坂を走行する際、減速のためブレーキを踏み続けたときなどに「異臭」がすることがありますが、これはブレーキパッドが非常に高熱になったことによるものです。こうなると、ブレーキの利きが悪くなる「フェード現象」を起こすことがありますので注意が必要です。


ちなみにブレーキを使いすぎた場合には、ブレーキフルード(ブレーキ液)が沸騰することによって利きが悪くなる「ベーパーロック現象」を引き起こすこともあります。このようにブレーキの使用過多がトラブルにつながることがありますので、下り坂ではエンジンブレーキも併用して、ブレーキシステムに過大な負担をかけないように心がけましょう。


一方、走行中に気づきやすい「異臭」があります。それは「エアコン臭」。原因は「エアコンフィルター」の汚れであることが多く、1年に一度の交換をおすすめしています。また、エアコンフィルターが汚れで目詰まりしていると、空気の流れが悪くなりエアコンの効率が落ちます。エアコンの利きの悪さだけでなく燃費の悪化を引き起こすこともありますので、汚れたままのエアコンフィルターを長く使い続けるのは避けたいところです。


さらに、エアコンフィルターにとどまらずエバポレーターなどエアコン内部の部品に汚れやカビが付着して、臭いのもとになっていることがあります。この場合は「エアコン内部洗浄」といった施工が有効です。



トラブルのサイン その3「振動」


これまでご説明した「異音」や「異臭」よりもわかりやすく、しかも大きなトラブルのサインであることが多いのが「振動」です。クルマの大きな揺れなども含みますが、「ステアリング」、「ブレーキ/アクセルペダル」、「シフトノブ」といった「操作系」から伝わってくる「振動」と、ドライバーがからだ全体で感じるような「振動」があります。


まずは「ステアリング」から伝わってくる「振動」について説明しましょう。この場合はステアリングシステムを構成する部品の異常のほか、足回り、とくにタイヤ・ホイールに起因する可能性があります。タイヤの空気圧不足も考えられますが、特定の速度でステアリングが激しく振動する「シミー現象」は、ホイールバランスが大きくずれていることによるものです。また、ステアリングがとられたりふらつくのは、ステアリングラックやリンク機構のギアやベアリングのトラブルが疑われます。このような症状が確認できたら、すぐに点検しましょう。


次は「ブレーキ/アクセルペダル」から伝わってくる「振動」です。アクセルペダルはエンジンやトランスミッションに、またブレーキペダルは文字通りブレーキにつながっている操作部です。したがって、ペダルから普段とは異なる「振動」が伝わってくるということは、重要なクルマの構成部品に問題があることが考えられます。


とくにブレーキペダルからの「振動」には要注意。ブレーキパッドやディスクローターが摩耗したことで「振動」が発生するほか、しっかり踏み込んでいるのにブレーキが利かないなど操作時に違和感があったらブレーキフルードの劣化や容量の不足などの可能性があります。


さて、エンジンをかけてオートマチックトランスミッションのシフトレバーを「P」から「D」に動かしたときに、大きなショックを感じて驚いた。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。また、信号機が青に変わりスタートしてスピードを上げていく際に、変速のショックがダイレクトに感じられるようになったという経験もあるかもしれません。


このような新車時とは異なる反応を明確に感じたら、「オートマチックトランスミッションフルード(ATF)」の劣化や容量不足が疑われますので点検が必要です。ATFにはロングライフを謳うものもありますが、油脂類の劣化は避けて通れませんので定期的な交換をおすすめします。ただし交換せずにひどく劣化している状態ですと、交換が難しい場合もあります。


最後はドライバーがからだ全体で感じるような「振動」についてです。一定の速度でクルマ全体が揺れを感じたり挙動に違和感があるときには、「ホイールアライメント」のずれや「タイヤ」のコンディションの問題が疑われます。


「ホイールアライメント」はクルマに対してのタイヤの取り付け角度のことで、それぞれのクルマによって基準の値が定められており、キャスター、キャンバー、トーと呼ばれる数値があります。アライメントは縁石にタイヤを強くぶつけたり、段差を乗り越えたりすることでずれますが、大きな入力がなくても走行を重ねるなかでずれることもあります。このようなアライメントのずれがあると、タイヤが偏った減り方をする「偏摩耗」を引き起こし、これがクルマの「振動」を誘発することがあります。


コクピット・タイヤ館ではタイヤの点検はもちろんのこと、アライメント機材を設置していますので、アライメントの測定・調整を行うことができます。気になる症状があれば、ぜひご相談ください。



「警告灯」はクルマが教えてくれる重要なサイン


BEV(電気自動車)やハイブリッド車が増えてくるにしたがって、クルマの「メーターパネル」のデザインやレイアウトには少しずつ変化が見られますが、運転に必要な情報をドライバーに伝えるというメーターパネルの役目に変わりはありません。クルマがいまどのような状態にあるのかを示す各種の計器類が盛り込まれていますが、最もなじみ深いのは速度を表示するスピードメーターでしょう。そのほかにもエンジン回転数を表すタコメーターや水温計、電圧計、油温計などが車種によって装備されています。


そしてこういった数値を示す計器類のほかに、異常を知らせてくれる「警告灯」も重要な役目を担っています。一般的な乗用車には複数の警告灯が備えられており、クルマによっては10種類以上の警告灯を採用している場合もありますが、それぞれの警告灯が何を知らせてくれるのかを知っておけば、トラブルに遭っても的確かつスムーズに対処できるはず。一度、クルマに備わっているマニュアルに目を通して確認しておくと、いざというとき慌てずに済むかもしれませんね。


とはいえすべての警告灯の意味を頭に入れておくことはなかなか難しそうですから、大切な決まり事だけはしっかり覚えておきましょう。メーターパネルのランプ類はさまざまな色が用いられていますが、この色は国際規格(ISO)で決められています。そして重要なポイントが、「赤色は危険、黄色は注意、緑色は安全」を表していることです。このほか温度について示す場合は、赤色が高温、青色が低温と、感覚的に認識できるように配慮されています。


一般的に赤色の警告灯が点灯、または点滅したら重大なトラブル発生したり、走行にあたって問題があると考えられます。その場合には安全な場所に停止して、警告の内容をきちんと把握しましょう。場合によっては救援を呼ぶ必要もあります。



故障する前に定期的な「点検」を行うことが大切


このように異音、異臭、振動などトラブルにつながるサインに気づくことはとても重要なのですが、さらにその一歩手前でトラブルを防ぐ、つまり点検・整備によって愛車をグッドコンディションに保つことができれば、より快適で楽しいカーライフを過ごせるはずです。


点検・整備を行うタイミングとしては「法定点検」が定期的なものとして挙げられます。自家用の乗用車・軽自動車は12ヶ月点検(1年点検)のほかに24ヶ月点検があり、安全かつ快適に走行するための定期点検・整備と位置づけられています。


また、「車検」も点検・整備を行う機会と捉えることが多いと思いますが、「車検」は安全面・環境面の基準に達しているかを確認する「検査」で「点検」ではありません。検査の基準に達していなければ不合格になりますが、例えばタイヤがかなりすり減っていて、もうすぐ摩耗度合いの目安になるスリップサインが露出してしまいそうでも、検査時に基準をクリアしていれば合格します。


つまり安全で快適に走行できるようクルマのコンディションを整えるのは「車検」の役目ではなく「法定点検」になり、さらにきめ細かくクルマの状態を把握するには「日常点検」も重要になります。


「日常点検」は走行距離や運転しているときのクルマの状態をもとに、各部のチェックを実施するものです。クルマのオーナー自身が行うことができる点検内容ですから、こまめに実施することをおすすめします。目安としては1ヵ月に一度ほど、また長距離走行前などに行うのが一般的で、大きなトラブルを未然に防ぐためにも確実に点検しておきたいものです。


点検項目としては、ウインドーウォッシャー液の量、ブレーキフルードの量と色、バッテリー液の量、冷却水の量、エンジンオイルの量、タイヤ空気圧、タイヤの残溝、タイヤの偏摩耗、タイヤの損傷、灯火類の点灯、ブレーキの利き、パーキングブレーキの引きしろ、ワイパーの拭き取り、エンジンの掛かり具合、クルマの加速具合などが挙げられます。



タイヤも定期的な点検が欠かせない消耗部品です


点検・整備が欠かせないのは、クルマが消耗部品のかたまりだからです。劣化した部品をそのまま使い続ければ、当然のことながら不具合が生じます。そして、クルマの消耗部品の中でも、特にコンディションのチェックが大切なのが「タイヤ」です。


タイヤのコンディションは意外と見落としがちなものですが、ゴムでできているため走行を重ねるうちにすり減りますし経年劣化もします。そんなタイヤの状態を見極めるには、以下の確認がポイントになります。


【残溝】

タイヤの溝は、走行に伴い「摩耗」によって少しずつ浅くなります。溝が浅くなると雨の日の排水性が低下し、ブレーキ性能の低下や高速走行時の安定性の低下をまねく恐れがあります。


【外傷】

経年劣化のほか、走行中の異物の乗り越え、サイドウォールへの接触などで、タイヤに「傷」や「ひび割れ」が発生します。また、経年劣化がゴムの「硬化」を招きタイヤの性能を低下させます。


【偏摩耗】

タイヤのトレッド(路面との接地面)が道路条件や使用条件等により、部分的に異常摩耗する現象が「偏摩耗」です。タイヤの異常なすり減りは、空気圧が適正でない場合などに生じます。


このような症状が気になったら、すぐにタイヤ専門店へご相談ください。コクピット・タイヤ館ではクルマの安全走行に欠かせないタイヤのチェックを「タイヤセーフティー点検」として、空気圧、偏摩耗、外傷、残溝の4項目にわたり無料で実施。タイヤの状態をプロの目でしっかりと点検します。


さらに、コクピット・タイヤ館では「メンテナンス安全点検」として、おクルマに関するさまざまな点検も無料で行っています。「日常点検は大切だけど、自分でしっかりできるかな」とご不安でしたら、ぜひご来店ください。オイル、バッテリー、ワイパーブレードといったついつい見落としがちな部品から、エアコンフィルターや冷却水、灯火類まで幅広くチェックいたします。


タイヤのことならブリヂストンのタイヤ専門店「コクピット・タイヤ館」へ。さらにおクルマのメンテナンス全般について、幅広くサポートいたします。ご来店の際にはWEB予約をご利用いただくと待ち時間もなくとても便利です。ぜひご活用ください。

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